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図1 | 2ストロークエンジンとチャンバーの関係
【エンジン】 ピストン1往復で圧縮・吸入→膨張→排気→掃気の一工程を行う。簡単が故に4stに比べ進化が早いし、各パーツ色々な方式があるので複雑化している。 (吸気方式)
(シリンダー) ポートの位置・形状・開口面積・角度で性能が大きく変わる。 基本の3ポート(吸気・排気・掃気)の応用で補助掃除などを加え、7ポートタイプも存在し、複雑化している。 基本的に排気バルブは存在しない(YPVSなどを除く)。 【サイレンサー】 4stと比べサイレンサー部は高温になりにくいので、グラスウールだけを巻くケースが多い。やはりワイヤーリングして固定するのだが締め方で消音性能や吸出し効果や押し戻し効果が変わる。排気量によっては4st同様のサイレンサーをつけているケースもある。極端なことを言えば、サイレンサーを外せば、排圧が弱くなり、吸出し効果は大きくなっても押し戻し効果は小さくなってしまうので、新気がそのまま抜けてしまい、燃費が悪くなり、騒音もひどくなる。 【 エクスパンションチャンバー】 胃袋状の箇所がある。なぜこんな形をしているかと言うと排気バルブの代わりに一度シリンダーから排出した排ガスをインテークまで一部戻し、圧縮時には排気バルブの代わりとなるように抵抗とならないよう曲面に設計されている。(上に示すような役割をしている。)この形状は1962年にスズキで排気管の研究をしていたところ、たまたま著しい性能であることが判明し、現在、その効果は理論的に証明され、何処のメーカーも使う製品となった。 |
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排気ポートが開くと高温高圧の正圧波がチャンバー 内を音速で通過する。 |
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図2 | |||
正圧波がダイバージェットコーン(胃袋状に膨らみ 始めの所)に達すると負圧波が発生し、排気ポート へ逆行する。 正圧波はそのままサイレンサー側 へ進行する。 |
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図3 | |||
排気ポートに到達した負圧は負圧反転波になり吸 出し効果が生まれ、シリンダー内で掃気・吸気を 行う。 |
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図4 |
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正圧波がコンバージェットコーン(胃袋状の膨らみ の付け根)で一部サイレンサーに排気し、一部を反 射させ排気ポートへ逆行させる。 |
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図5 | |||
正圧波が排気ポートに到達するとき圧縮が始まり、 吸気した混合気を排気側から押し戻し、圧縮を高め る。その後、点火し、図1からの工程を繰り返す。 |
チャンバーを買う上でのポイント | |
「あの子のはめてたのサイレンサーがかっこいい」とか「あれは音がいいね」ということを良く聞きますが、いざ自分が新しくチャンバーを交換しようとする場合、そういった面(外観)で選ぶのはお勧めできない。同じ車両でも、体重も違えば、乗り方も個性がある。他人のベストが貴方のベストとは限らないです。 | |
チャンバー長でわかること | チャンバーがノーマルより短い→比較的高回転型 チャンバーがノーマルより長い→比較的低回転型 |
排気の抜け具合 | サイレンサーの中のインナーサイレンサーが貫通していて排気口もかなり拡大している。→高回転型・高燃費(低速時ロス分が多い) |
排気デバイスつきの場合 | ホンダならCRV・ヤマハならYPVS・スズキならAETC・カワサキならKIPSといったバルブがついているが、そもそものルーツは大西エンジンと言う公害対策エンジンからヒントを受けたもので、低速時の新気排出を出来るだけ無くそうと言うのが目的だった。これは長めのチャンバーをつけて排気ポートにつけたバルブで排気(脈動効果)を抑制して低回転域の性能も高めると言う効果をもたらした。 チャンバーを別の形状のものに交換すると言うのは、場合によるが、デバイス特性を無視することになる。レーサーモデルでも多用化されている可変バルブを使えないのは宝の持ち腐れですな。 |